LINE Harnessとは、LINE公式アカウントのステップ配信・友だち管理・自動化を自分のサーバー環境で動かせるオープンソースのCRMです。
開発は野田修一さん。2026年3月23日に公開され、8月8日時点で 557 stars / 347 forks。昨日 8月7日の v0.19.0 でオートウェビナー機能が入りました。
この記事でわかること
・LINE Harness で今できること
・v0.19.0 のオートウェビナーで何が変わったか
・「動画を止めずにフォーム送信」がなぜ効くのか
・READMEを見ただけでは分からない注意点
・「サーバー代0円」と「運用が完全無料」が違う理由
※ 録画1本を自動開催して申し込みまでつなげる仕組みを、実際にどう組み立てるかは無料ウェビナーで解説しています。
LINE Harness とは何か
LINE公式アカウントに「配信スタンド」と「顧客管理」を足すソフトウェアです。SaaSとして借りるのではなく、自分の Cloudflare アカウントの上に建てます。技術構成は TypeScript と Cloudflare Workers + D1。
READMEには MIT License として商用利用・改変・再配布が自由と明記されています。ただし LICENSE ファイル自体は置かれていないため、商用展開の前に確認しておくと安心です。
導入は1コマンドから
セットアップは npx create-line-harness の1コマンド、所要 約5分。CLIが Cloudflare 認証・D1作成・デプロイ・LINEクレデンシャル登録・LIFF自動作成・Ownerユーザー作成まで通しで実行します。必要なものは Cloudflareアカウント(無料枠で可)、LINE公式アカウントと Messaging API チャネル、Node.js 22以上です。
すでにできること(v0.19.0 以前の積み上げ)
トラッキングリンクは、クリックされると自動でタグが付いてシナリオが起動します。「リンクを踏んだ人だけに次の一手を打つ」が完結します。
v0.16.0 で入ったアフィリエイト計測
2026年7月7日の v0.16.0 では、ASP機能が追加されました。アフィリエイター自身がLIFFからワンタップでリンクを発行でき、案件ごとに固定額の報酬を設定します。計測は「クリック → 友だち追加 → フォーム/予約 → 決済」を時系列で記録し、90日窓の last-touch で帰属させます。
v0.19.0 のオートウェビナーで何が変わったか
リリースノートの説明は、録画1本を「巻き戻せない疑似ライブ」として自動開催し、予約からCTA・フォーム送信までLINE内で完結させる機能のフルセット、という趣旨。実装ファイルは27件、テストも同梱されています。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| CTAカード+ インラインフォーム |
指定秒でチャット欄にCTAカードが流れる。フォームはボトムシート表示で動画を止めずに回答が完結 |
| セッション予約+ LINEリマインド |
参加回を選ぶUI、予約確認プッシュ、開始5分前に視聴リンクを自動プッシュ(claim方式で二重送信を防止) |
| 待機ルーム | 開始10分前からカウントダウン。開始前コメントは at_seconds を負数にするだけで実現 |
| iOS途中参加の根治 | m3u8への #EXT-X-START 動的注入。LINEのin-appブラウザがJSのシークを無視する問題を配信側で解決 |
| 途中参加禁止ゲート | ライブ中の未予約流入は次回予約へ誘導(予約者本人・プレビュー・開始直後は例外) |
| 管理画面 | ウェビナー分析のリデザイン、CTA・コメント編集、予約管理 |
開催スケジュールは daily / weekly / once をJSONで設定し、タイムゾーンはJST固定。視聴者ごとに参加時刻・最終視聴位置・CTAクリック時刻が保存されます。
この直し方は理にかなっています。ブラウザ側で対応すると環境ごとに挙動が割れますが、m3u8に開始位置を持たせれば、再生する側が何でも同じ結果になります。
いちばん効きそうなのは「フォームが既存機能に乗っている」こと
CTAカードのインラインフォームは、既存のフォーム機能(POST /api/forms/:id/submit)をそのまま使っています。つまり視聴中に送信した瞬間、タグ付けとシナリオ起動が発火します。別建てフォームを作って後からCRMへ流し込む工程が要りません。
「外部LPに飛ばした瞬間の離脱」を潰しにきている
オートウェビナーを運用していると、ずっと気になり続ける箇所があります。動画の途中でCTAを出して外部の申込ページへ飛ばすところです。ブラウザを切り替えさせ、読み込みを待たせ、入力欄を埋めてもらう。その間、動画は止まっているか、離れたまま戻ってきません。
v0.19.0 の設計は、この「移動」そのものを無くしにいっています。CTAはチャット欄に流れ、フォームはボトムシートで手前に出て、動画は止まらない。予約もリマインドも視聴もLINEの中で完結します。
自前のオートウェビナーをVPSで運用している立場から見ても、ここを解こうとしている実装は興味深いです。「動画を止めずに回答を取る」という発想は試す価値があります。
ツールが何であれ、効くかどうかは中身の設計で決まります。録画1本で申し込みまで運ぶ組み立て方は、無料ウェビナーで公開しています。
オートウェビナーの組み立て方を見る →READMEだけ見ると判断を間違える
docs や wiki にもウェビナー専用のドキュメントはまだなく、READMEだけを見て「そんな機能は無い」と判断してしまう人が出ます。正しい情報源はリリースノートとコードです。
「完全無料」ではありません
オープンソースで、Cloudflareの無料枠に乗る。ここから「完全無料で運用できる」と読むと、あとで話が合わなくなります。
サーバー代0円と、運用が無料は別の話
・LINEのメッセージ配信料はツールが何であっても別途かかる
・Cloudflare R2 はデータ転送量が無料でも Class A / B のリクエストに課金がある
・Cloudflare無料枠は友だち5,000人程度が目安。超えれば有料プランの検討が必要
導入のハードルは「コードを書くこと」ではない
コードを書く必要がないことと、非エンジニアが1人で完結できることは別の問題です。ターミナルを開くのが初めてなら、詳しい人に横についてもらう時間を見込んでおくと早く終わります。
よくある質問
LINE Harness は無料で使えますか?
ソフトウェアはオープンソースで、READMEにMIT Licenseと明記されています。ただし運用は無料になりません。LINEのメッセージ配信料と Cloudflare R2 のリクエスト課金が別途かかり、無料枠は友だち5,000人程度が目安です。
プログラミングができなくても導入できますか?
1コマンドで自動的に進むため、コードを書く必要はありません。ただし Cloudflare のアカウントと Node.js 22以上の環境は自分で用意します。ターミナル操作が初めてなら、詳しい人のサポートを見込んでおくと安全です。
ウェビナーで取った回答を、そのままステップ配信につなげられますか?
つながります。CTAカードのインラインフォームは既存のフォーム機能を使う実装のため、回答と同時にタグ付けとシナリオ起動が発火します。
まとめ
v0.19.0 でオートウェビナーが入り、予約からCTA、フォーム送信までがLINEの中で閉じるようになりました。押さえておく点は、READMEがまだ v0.14.1 のままなことと、「サーバー代0円」と「運用が完全無料」は違うことです。
この記事のポイントまとめ
・Cloudflare Workers + D1 で動くオープンソースのLINE公式アカウントCRM
・npx create-line-harness の1コマンドで導入できる
・v0.19.0 でオートウェビナーが追加。動画を止めずにフォーム送信でき、タグ付けとシナリオ起動が発火する
・iOSの途中参加は m3u8 への #EXT-X-START 注入で解決
・READMEは v0.14.1 のまま。確認はリリースノートとコードで
・運用は完全無料にはならない
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